楽しくコケる量子社会

投稿日 2023.04.05 更新日 2023.04.06
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前回の話の続きである。異次元世界へ一斉に現実逃避を始めた人類は⋯全員、薄汚いコケと化すだろう⋯もちろん、これは冗談である。しかし、放置すると本当にそうなる恐れがあるので、政府は現実政界を維持するための政策もワンセットで打ち出して来るだろう。文明が完全に異次元世界へ移行し終えるまでの間、現実空間側でも様々なものをメンテナンスして維持し続けていかなければならない。現実世界側でも誰かがそれを必ずやる必要がある。全員、コケむした地蔵になってしまったら、異次元世界のインフラも即座に崩壊するだろう。そこで⋯前々回あたりで述べたグレイの例え話である。とりあえず、コケることない義体のようなものに肉体を換装してもらうことになるだろう。最後の最後まで、現実世界との裏付けや再現性は維持し続けられると思う。

まぁ、異次元空間だとか量子うんぬん以前に、未来社会は攻殻機動隊に見るような、脳だけ取り出し肉体を義体に換装する医療技術が確立されているだろう。その段階においても、これまで述べて来たような倫理上の問題が発生、いろいろ物議を醸すだろうが⋯お手軽な全身量子整形ほど重大視されないと思う。人類が異次元空間へ進出するのは遥か遠い未来の話となる。義体のような医療技術は比較的近未来に登場して来るだろう。人々がファッション感覚で様々な義体を楽しむ時代が一定期間あると思う。ある日、部活を終え自宅に帰宅すると、美少女の義体に成り代わったオカンが夕飯の支度をしているかもしれない。まぁ、それはともかく⋯量子社会が極限まで極まると現実世界はどうでもよくなり、義体に審美性やファンション的な要素すら求められなくなるだろう。

量子社会における義体は機能性のみ追求されるだろう。コケないカビないサビないものであれば何でもよくなるだろう。以前にも語った通り、見た目や外観などは異次元空間で気にすれば良い。グレイは⋯もしかすると、異次元空間へ進出した文明の人々の⋯現実空間側の義体なのかもしれない。グレイたちの頭の中では自分たちが美男美女に見えているのだろう。でなけりゃ、誰が誰だかワケワカメとなる。まぁ、個人的にではあるが⋯宇宙人が地球に飛来して来ているとは思えんので、グレイの正体は超古代文明人だと考える。実は我々と同じ地球人であると!今もこの地球上のどこかに⋯現実空間と異次元空間をつなぐ超古代人の装置が残されているかもしれん。たぶん、文明が完全に異次元空間へ移行し終えても、研究目的で現実空間とのつながりは確保され続けるかもしれん。

冗談だ。本気にするな。冗談であるが⋯そんな感じで、まずは現実空間と異次元空間の融和が図られて行くもんだと考える。その第一段階として「人工幽体離脱」の確立である。当初はリラクゼーションサロンのような雰囲気にする場所で、CTスキャンのような大がかりな装置を使用して楽しむ形になるだろう。これもアメリカの古いSF映画になるが⋯シュワルツェネッガー主演のトータルリコールに見るよう、ベットの上に寝かされ異次元空間で変身願望を満たす感じになると思う。こちらの作品の場合「人工明晰夢」になるが⋯とりあえず、異次元空間では時間軸が可変するため、現実世界の3分は異次元空間では3日くらいに延伸操作が可能となる。なので、そのような異世界トリップ体験サロンなるものは⋯立ち食い蕎麦屋よりも効率の良い商売としてブレイクするだろう。

いずれそのような大がかり装置はダウンサイジング化され個人所有も可能となるだろう。第二段階として現実空間と異次元空間の常時併用化である。以前、死後の世界のカテゴリーでも語った話だが⋯脳神経と異次元空間をつなぐデバイスにより、人間の思考をアシストする目的で普及して行くだろう。当然、人工ダイブ界なるものも実現されるだろう。そして、やがては併用状態から重複化の段階へ突き進むだろう。文明が完全に異次元空間へ移行し終える直前の段階になると言える。全員、グレイのような姿に変わり果て、頭の中で理想のビジョンを現実空間に重ね合わせて生活しているかもしれん。社会インフラの異次元空間側への依存度が九割を超えると、全員ベットの上で過ごしていることが多くなり、最後は現実世界のものはすべて放棄され、異次元に引きこもるようになるだろう。