白昼夢の出来事に過ぎなかったタルパ戦争

2026.04.18

2010年、オカルト界の片隅で怪しげな実験が行われていた⋯幽体離脱や明晰夢の方面から集まった学生らを中心とするグループにより「夢」の共有実験が行われ続けていた。ただ、当事者らは夢でなく「ダイブ」と呼んでいた。ダイブとは⋯白昼夢を明晰夢化させた技となる。通常の幽体離脱や明晰夢とは異なり、就寝中の偶発性に委ねるのではなく⋯起床中、瞑想により変性意識を極限まで高めることで実現する。白昼にありながら明晰夢を意図的に誘発できるようになるのだ。明晰夢は自由自在なものに思われがちだが⋯それは夢の中での話で、明晰夢自体を見るのは容易ではない。故に革新的な新生技法になると言えよう。経緯は定かでないが⋯従来の「名倉」と区別するため、夢の世界は「ダイブ界」と呼ばれた。とりあえず、ダイブの共有実験は一定の成果を上げていたようだ。

前世紀末、タルパがオカルト雑誌ムーによって取り上げられ、注目を集めた背景、経緯として⋯幽体離脱や明晰夢の方面で研究されていた霊体との神秘体験を、外的依存せず自らの意志で霊体を錬成して、思いのまま自由に神秘体験を再現するためにあった。

シュレーディンガーの猫

実験はSkypeによる多人数が同時通話できるボイスチャット機能を利用して行われた。おそらく、参加者らはヘッドセットでも装着していたのだろう。実験を主催していた者⋯言わずもがな、浮き草氏の催眠誘導により、深い瞑想状態へ導かれ、全員で同じ夢を見る試みが行われた。もう、数年にもわたり、同氏と関連するエピソードの真実を追い続けて来たが⋯心理学としての「夢」の観点から考察を仕切り直し、この後に起きたとされるミステリアスな事件「タルパ戦争」の考察にケリをつけたい。本稿こそ最終決定版となる。タルパ戦争とは⋯共有された夢の中での出来事となる。夢の中に出現していた一体のタルパを巡り、当時のタルパ界隈でその存在性を問う物議を醸した。果たして⋯件のタルパは存在していたのか?参会者らが話を合わせていただけに過ぎなかったのか?

何のために共有ダイブが考案されたのか?

複数の人が同時に同じ夢を見ることができたとして⋯だから何?と思うことだろう。明確な目的があったはずだ。それは⋯他人のタルパ、他ルパと直接的な意思疎通を図ったり、タルパー同士でタルパの授受を行うことだ。実際、当時のタルパ界隈において⋯浮き草氏と共に活動していたデルタ氏が、共有ダイブを通じて自分のタルパをホロ氏へ譲渡している。しかし、それが後にタルパ界隈を大きく揺るがす大事件の火種と化す。話を急がせるが⋯ホロ氏がデルタ氏から譲り受けたタルパは、すべてデルタ氏の作り話だったのだ。浮き草氏らのこうした活動に疑念を抱き始めたデルタ氏により⋯共有ダイブの真偽を確かめるべく、仕組んだものであることが後に暴露されたのだ。結果、これを見抜けなかった浮き草氏とホロ氏に批判が集まり、両名のタルパ界隈における信用は失墜した。

タルパ戦争の真相

引き金となった出来事がタルパ戦争と言う訳だが⋯通説では、デルタ氏から譲り受けたホロ氏のタルパが暴走してしまい、浮き草氏とその仲間たちが暴走したタルパを鎮圧すべく、共有ダイブで戦いが繰り広げられたとされる。しかし、どうも⋯そうしたこと自体はなかった模様で、デルタ氏の暴露で⋯浮き草氏らが弁明に窮し、何も言い返せない状態となったことをいいことに、オカルト研究家でタルパ界隈を出入りしていたサラシナ氏が脚色、誇張しただけの話のようだ。某巨大掲示板で語られていた鮫島事件と同じ類の都市伝説に過ぎないようだ。しかし、デルタ氏の告白はタルパ界隈に大きな衝撃と混乱をもたらし、様々な論争を招き起こした点から⋯戦争と比喩されるに値する状況だった思う。そりゃ⋯件のタルパは最初からどこにも存在しないと告発されたのだから。

各自の心の中で存在していたタルパ

その後、浮き草氏とホロ氏、その関係者らはタルパ界隈から姿を消した。しかし、タルパ戦争(と言われた出来事)から数年後⋯ホロ氏が弁明のためタルパ界隈に再降臨、サラシナ氏とシニカルな会話を交わす。ホロ氏はその中で⋯共有ダイブは浮き草氏のシナリオに基づくもので、自分たちの中では実際にあった出来事と抗弁している。シナリオとは⋯おそらく、浮き草氏が催眠誘導に使った台本だと思われる。浮き草氏は元々、離脱界隈の住人であったことから、オカルト以前に催眠術には長けていただろう。また、夢占い師である私の立場から言わせて貰えれば⋯タルパは夢の登場人物とまったく同じ原理で動いており、ダイブも夢の一種、白昼夢である以上、タルパは存在していたことになる。夢だから元々が何であれ、浮き草氏らの中では存在していたことになる。

ダイブは催眠行為でもある

夢の中に登場して来る人物は⋯親兄弟などの家族、学校の先生や同級生、会社の上司や同僚、過去から現在に至るまで交際していた友人や恋人など様々だ。その一方で、接している時間が長いにも関わらず、夢で一度も見たことのない人もいる。出現頻度は深層意識への刷り込み具合によって変わる。感性を活性化させてくれたり、感情を揺さぶられやすい人物が夢に現れやすくなる。変性意識は本当に程度の差が大きい。だから、見知らぬ人物も⋯そうした心境にある中、どこかで視界に入った人かもしれない。複数人物の要素が合成されて再現されることもあるだろう。どこかで実在している可能性は高い。ただ、実在は実在でも二次元キャラクターやCGなどの虚構の人物でこともある。ここで何を指摘したいのかと言うと⋯デルタ氏が自身の行為を催眠である点を失念していた点だ。

集団幻覚とも違う

つまり、デルタ氏はタルパを捏造したつもりだったのかもしれないが⋯オカルト、心霊現象としてのタルパを意識し過ぎるあまり、デルタ氏も離脱界隈出身者だったらしいが⋯心理学、催眠術としてのものを忘れていた点は盲点に思う。何のことはない、デルタ氏はホロ氏に暗示のようなものをかけ⋯ホロ氏の心を媒体にする形で、タルパを作り出したに過ぎないのだ。それに時間をかける必要はない。一瞬で事足りる。そして、浮き草氏らの心にも思念伝播したのだ。催眠効果によって創出された夢の登場人物としてのタルパに過ぎなかったのだ。いや、何度も言うが⋯タルパは夢の登場人物と同じ原理で動くものである。集団幻覚とも微妙に違う。集団幻覚は事件や事故など、特定の事象を同時かつ一瞬で意識共有する特別な状況下でないと発生し得ない特異な集団心理現象だ。

夢と心霊現象の整合性

以上の話に納得できない人は多いだろう。催眠術としての夢と⋯心霊現象との整合性はどうなるのか?心霊現象はそれを感じる人により変わる相対的な現象となる。個別の心象の中で都合良く起きている現象に過ぎない。亡くなった母親や祖母が美少女の姿で現れて来たら⋯ちょっと嫌だろ。ドン引きするだろ。母親なら母親らしい姿、祖母なら祖母らしい姿で現れて来て欲しいものだ。しかし、彼女らはあの世では子供の姿で幸せに暮らしているかもしれない。催眠、夢は⋯そうした相対化を後押しするためだけのものに過ぎない。実際、幽霊は就寝中における通常の夢の中に現れて来る確立の方が高い。いや、だから夢だろう!!と言うツッコミを入れたくなるだろうが⋯後は信じる信じないの問題だ。自分は夢で男のロマンを追及して楽しみたい。蜜月の化身よろ。

大切なのは自分の中で感じる存在性

明晰夢でない⋯就寝中における通常の夢、ダイブと関係ない自然な白昼夢で、作りかけのタルパが登場して来るようになったらしめたものだ。それだけタルパが深層意識に根付いており、一つの個体として完成に近づいている証拠だ。一人二役の訓練なんかやめて、タルパと楽しく過ごして生活している空想でもして遊んでいればいい。そのうち夢に現れて来るようになるし、勝手に自動化され⋯気づいたら脳裏に常態しており、タルパと自然な対話ができるようになると思う。ただし、現実空間を背景にした視覚化は推奨しない。タルパ作りでそこまでやる必要はないと思う。大切なのはタルパとのコミュニケーションだ。タルパとイチャイチャしたいならダイブを習得すればいい。心象世界であんな事やこんな事をして楽しめ。そうした確かなものは⋯すべて、自分の中で感じろ。

神様タルパーは「眠り姫症候群」かもしれない

ただ、他人のタルパが自分の夢に現れて来たら⋯少し、微妙に思うだろう。その場合、通常の夢の登場人物と同じで本物の側と何も関係ない。共有ダイブのように意図したものでない限り⋯どのようなシチュエーションであったとしても、特別な意味はないし気にする必要はない。無用な誤解やトラブルを避けるため、それを吐露する必要もないだろう。黙っていた方が良いかもしれない。まぁ、仲の良いタルパ所持者さんのタルパが良い感じに登場して来たものなら吐露しても問題ないだろう。見られた側もそれだけ自分のタルパの存在感が強まっている証だと自負して良い。しかし、神様タルパーのようなカン違い野郎もいる。お前のタルパがお前を捨てて私のところにすがって来たと言うメンヘラもいる。おそらく⋯神様タルパーは夢の話をしていたものだと思われる。

通常、夢は相対的なものと認識、現実の対象との区別が行われるものだが⋯夢を絶対的なものと認識、現実の対象と混同していたのが神様タルパーと思われる。

共有ダイブの真偽

余談が過ぎた⋯最後に「共有ダイブ」の真偽ついて述べておきたい。結論からして、複数人数で夢を共有することは可能だと思う。そういう催眠術はある。タルパ界隈で悪用されると嫌なので⋯そういう催眠術が何であるかは具体的に説明しないでおく。しかし、共有されるのは夢そのものではなくシナリオである。問題のタルパは存在しているが⋯それは実験に参加していた者たちが、各自の心の中で相対化させていたものに過ぎない。浮き草氏の催眠誘導により同じように動いてだけに過ぎない。それにより唯一不二、ユニークな存在として錯覚していただけだ。実態はパラレルな存在である。それはタルパか?疑問に思うだろう。そこは量子力学的な発想、不可思議な二重性で咀嚼して欲しい。実際、タルパは見えないけど感じる⋯非実在と存在感を同時に併せ持つ矛盾した存在だ。

タルパ戦争に関与した人たちの一部で⋯ホロ氏のタルパを罪悪感として刷り込まされている恐れがある。今後はそうしたマインドコントロールの解除を試みる方向でタルパ戦争の考察を続けたい。サラシナ氏の最後の言動も謎のままだ。