深層意識世界・ダイブ界からの緊急脱出マニュアル
今後、ダイブ界の作り方について、詳しく語って行こうと考えていたが⋯ダイブ界は一朝一夕で完成するものではない。完成するまでの間、現実世界と深層意識世界の間を行ったり来たりの繰り返しになる。まず、万が一に備えた対策を、事前に説明しておく必要があると思う。ダイブはある種の強い自己暗示、催眠となるため、人や程度にもよると思うが、解除が困難となるような事態に直面しないとも限らない。また、ダイブ終了プロセスは時間をかけながらゆっくり行うものだ。そのような懸念から、ダイブ界から抜け出ることができなくなった場合、または、ダイブ中に不測の事態が発生した場合に備えた対策は絶対に必要だと言える。これは依り代の説明をする際にも触れた件だが⋯タルパ戦争と呼ばれるダイブ界にまつわる事故が実際本当に起きているのだ。
金縛りの解除方法を利用する
ダイブは金縛りとは違うが⋯金縛りに遭った場合の対策方法が有効的だと思われる。とりあえず、焦らずにゆっくりで構わないから、大きな深呼吸を数回してみて、手や足先などに意識を集中させ動かして見ることをお勧めする。手のひらをグーパーして見たり、強く握るのが一番良いと思う。手のひらは気が集中的に集まりやすく、人間の意識と何気に連動している部位でもある。自分の顔の前で柏手でも打つよう手を強く叩くのも良いだろう。瞬時にダイブが解除できると思う。人にもよると思うので絶対とは言い切れないが、急速解除モードの開発は必須だろう。ただし、通常のダイブ終了プロセスにこれを適用してはならない。あくまでも緊急用である。多用するとダイブが解除されやすくなり、浅く脆いものとなる。ダイブ終了プロセスは別にちゃんとしたものを用意しよう。
正式なダイブ終了プロセスは別に確立しておこう
ダイブはゆっくり静かにやるのが何よりものコツとなる。それは終了する際も同じで、深い意識の底から徐々に回復するイメージでやる必要がある。そうすることで、ダイブ界での出来事、記憶を確実に深層意識に刻むことができる。ダイブ終了プロセスについては次回詳しく語ろうと思う。とりあえず、今は緊急時の対策だ。緊急用のものは、言わばシャボン玉を弾けさせるような行為になる。実際、人間の記憶はシャボン玉のように儚い。それらを強引に一瞬で消し去り、ダイブ界から瞬時に抜け出ようと言うものになる。そんなものを常用すれば、ダイブ界の構築も捗らなくなるだろう。ダイブ界での出来事は大切な思い出となるのだ。ダイブ界を抜け出る時も慎重にやろう。なので、ダイブ界からの緊急脱出訓練は、ダイブ界を本格的に作り始める前にやっておくと良いだろう。
ダイブ界を完成させている場合の緊急避難訓練法
一方で、すでにダイブ界をある程度のレベルまで仕上げている、完成させている人は、霊道を通り抜けた先にあるダイブの入口付近で練習、訓練に限定すると良いだろう。入口付近はほぼダイブ界にいる状態に近いが、ダイブ界に直接影響を与えることは少ないだろう。もちろん、多用は禁物であるが、月に数回ぐらいは試してみて、緊急時の対処手段を確立、訓練をしておこう。まぁ、完成したダイブ界は安定した強いものですから、毎日何回もやらなければ影響はほとんどないと思います。その点はあまり神経質になったり、過剰に心配する必要はありません。ただし、ダイブ界の中でやってしまうと、差分となる記憶⋯緊急脱出訓練を行ったダイブ中の出来事、記憶は失われたり、定着しない可能性があります。それ以前のものへの影響はほとんどないものと思われる。
タルパ戦争について
最後に、実際本当に起きたダイブ関連の事故について触れておきたい。以前にも軽く紹介したタルパ戦争と言うものだが⋯事故内容を簡単に説明すると、ダイブ中に自身の人工精霊(タルパ)が暴走したのをきっかけに、ダイブが完全に解除できなくなり、半催眠状態のまま現実での生活を余儀なくされた事故とされている。当然、生きる上で大きな支障となる。車なんか運転できる訳ないし、学業や仕事も手につかなくなるだろう。にわかに信じがたい話であるが⋯その真実が何であれ、依り代の設定はなく、万が一の際の緊急対処法も確立していなかったのは事実のようだ。重要な点になるので二度書いておくが、ダイブはある種の催眠術でもある。この点を十分に理解した上でダイブに挑戦して欲しい。そして、緊急時が発生した場合に備えた対処方法は必ず確立しておこう。