比喩表現ホラー小説「首なし男」近日公開か!?
思念体の世界には⋯神様気取り、学者気取りの考察家や研究家が多い。正直、気に食わない。特に月光顔面と呼ばれた宇宙意思だ。みんなのダイブ界の夜空から⋯いつも、誰かを観察しているらしい。この世界の改善のために思考を巡らせるのではなく⋯高みの見物に徹し、困っている誰かを見て喜んでいるらしい。しかし、それに飽き足らず、たまに地上へ降臨して来る時もあるらしい。その際、頭部は月を模したメロンパン、首から下はスーツ姿に変わるらしい。肝心の頭は⋯実は、誰かのダイブ界にジャムおじさんの版権タルパがいるらしいのだ。ジャムおじさんに作ってもらったメロンパンを依り代にすることで降臨できるらしい。そう言う訳で⋯月光顔面はいつも通り、オレのダイブ界に降臨して来た。オレの三姉妹のイマジナリーフレンドに興味があるらしい。
◇ ◇ ◇
ガ島首都、ウィルクス郊外の海浜公園――
ABC子は公園の展望台にいた。
三人は海を眺めなら大きな深呼吸をする。思えば⋯⋯このダイブ界もかなり発展したものだ。展望台からの海の眺め、水平線は丸みを帯びているように見える。そう、このダイブ界は一つの大きな惑星なのだ。
「Aネー、酒臭い!」
BC子が鼻をつまみながら言う⋯⋯
ワンカップ大関を片手に豪快に笑うA子。
その時である、A子の視線の先に⋯⋯街路樹の影から、月のような頭をしたスーツ姿の男が、こちらを見ていることに気づいた。A子はBC子へ目くばせをする。BC子は無言でうなずき行動に移す。
「あの子たちか⋯⋯」
月光顔面はドキドキしながら展望台の上にいるABC子たちを見つめていたが⋯⋯まばたきをした次の瞬間、三人は展望台の上からぱったり姿を消していた。あたりをキョロキョロ見回す月光顔面⋯⋯
突然、自分のケツをポンと軽く叩かれて驚く。振り向くと⋯⋯なんとそこにはA子が立っていた。
「お前、うちらに何か用か?」
「えっ、あっ、その⋯ちょっと、あの件で興味があって⋯」
今度はケツに金属のようなものを押し当てられ反対側を振り向くと、C子が銃を突きつけていた。次の瞬間、自分の背中にB子がしがみつきスリーパーホールドの技をかまして来た。幼女なのに大人並みに力が強かった。
「ちょっと!暴力はやめて!」
B子が月光顔面の耳元でささやく⋯⋯
「それメロンパンか?美味そうやな。ええ匂いもする。焼きたてやな」
数時間後⋯⋯
首無し状態のスーツ姿の男性が公園で倒れているとの通報も入り、あたりは騒然な状況と化していたのであった。
◇ ◇ ◇
あ、そうそう、忘れていた。次回、三つの共和国について説明する。